凄惨の一字に尽きるような事件が後を絶たない現代、既に20世紀末において、受け止めることがとうてい不可能と思えるような快楽的殺人を超えた、猟奇的カルト的宗教性を孕んだ事件を経験することで、パンドラの函が開いてしまったと受け止めた人は少なくないのではないでしょうか。(宮崎勤・連続幼女誘拐殺害事件、オウム教団サリン事件、神戸児童連続殺傷事件等)
 
日本の共同社会の底が抜けてしまった、社会の基層においてあらゆる価値観の崩壊が起きてしまった。その故の終末的現象であって、これを私たちは内側から抱え込んでしまったという、認識的覚悟と同時に無数の精神の荒廃を、必然的に担わされたということではないでしょうか?
 
これと同じ試練を背負わされた時代があったとしたら、これは漠然としたイメージですが、<生贄を必要とした>古代国家建設の刻でしょうか?それにしても、あまりにも現代は傷つき過ぎてはいないでしょうか?しかしそれでもなお、これを千載一遇の機会と捉え、暴発する事件よりもさらに畏怖すべきエネルギーを信じて、我々は希望を繋ぐことを責務とする純粋を保持すべきではないでしょうか。
岡村洋次郎(東京バビロン代表)


東京バビロン演劇フェスタ#01
 
『神なき夜に…』
―現代犯罪フィールド

 
2009年7月・8月
 
「現代の犯罪」をキーワードにした6劇団の競演
 

チケット料金
■前売 2,000円 ■当日 2,500円
■フェスティバル通し券 6,000円(予約のみ)
■学生 1,500円(要学生証・予約のみ) ■半券割引 500円引き(他団体の半券・支払済みチケット持参の方)
※全席自由、ご予約は各団体ごとにお申し込み下さい。通し券は東京バビロンのみのお取り扱いとなります。
会場
『シアター・バビロンの流れのほとりにて』
東京都北区豊島7-26-19 最寄り駅・東京メトロ南北線「王子神谷」
※駐車場はございません・駅から15分ほど歩きますので地図をご確認下さい
主催:東京バビロン お問合せ先
http://www.tokyobabylon.org

7月1日(水)〜7月5日(日)

前回公演「眠る男」撮影:二階堂洋右
RAKUENOH+ ラクエンオウ・プラス
『エレクトリック・ガーデン』
 [ツァラトゥストラは何を語ったのか?]
 
演出+作+美術 長堀博士
[キャスト] 植村せい・政井卓実・正留歩・松木円宏・大畑麻衣子・小林奈保子
角田菜穂 他 [スタッフ] 照明 南出良治・音響 齋藤瑠美子・舞台監督 田中新一
予約・お問い合せ
http://rakuenoh-plus.net/
 
  7/1(水) 7/2(木) 7/3(金) 7/4(土) 7/5(日)
14:00      
18:00        
19:30    
※受付開始、開場は開演の30分前
「RAKUENOH+」は演出家、劇作家の長堀博士が主宰。1991年に自らの戯曲を上演する場として「楽園王」を旗揚げ。その後十数年を経て演出家としての側面が大きくなり、古典戯曲、優れた文学作品などもレパートリーに加えて活動をしている。15周年公演終了を機に「RAKUENOH+」と改名、新しい俳優の発掘、育成にも力を注ぎながら、時代を担う新しい才能の発信を目指している。長堀の演出作品数は古典、自作合わせ70本にも及ぶ。「戯曲=詩」の考えから「耳からの聞こえ」にこだわった独特の語りと様式美を追求。04年の「利賀演出家コンクール」ではイヨネスコ作「授業」にて「優秀演出家賞」を受賞した。また、執筆脚本数は約50本、「エッシャーの絵に中に迷い込んだよう」と迷路やパズルに例えられることの多いその物語作品は、謎の中で迷子になった登場人物たちの変化や成長を描くことで、爽やかな感動を呼ぶ。(あるいは絶望も…) 本公演「エレクトリック・ガーデン」は1992年に初演の作品で二度目の再演。アメリカで実際に起こった殺人事件を基に執筆。舞台を日本に置き換え、その殺人事件の被害者に親友の男がいたことを想定して、その男の視点から事件、現代社会、社会の中での人生を読み解いていく。また、二重奏のように童話風なタッチの砂漠を旅する少女のエピソードか交互に上演され、不思議な迷路のような作品が生れた。会場に入るとドーナッツ構造の観客席を真ん中に360度取り囲むように舞台が設置され、あたかも観客が物語世界に巻き込まれたような錯覚の中で上演される。初演から16年の歳月を経て、今なお上演する意義を失わない長堀博士の代表作の一つである。

7月14日(火)〜7月20日(月・祝)
13号地
『此処より先へ』
 
作/演出 加藤一也
[キャスト] 成行ミチ子・加藤一也 [スタッフ] 照明 小関英勇・音響 勝見友理(ステージオフィス)・舞台監督 米山明男
予約・お問い合せ
http://www.13goochi.net/
  7/14(火) 7/15(水) 7/16(木) 7/17(金) 7/18(土) 7/19(日) 7/20(祝)
15:00        
19:00  
※開場は開演の30分前、受付開始は1時間前
 
「これから通る今日の道、通り直しの出来ぬ道」
高齢者虐待、介護放棄による餓死、介護疲れによる無理心中、介護殺人。
老老介護による悲惨な事件が後をたたない。その背景は一様ではなく、
とても一口で語れるものではないだろう。
これは通ってはいけない道を行ってしまったある夫婦の物語。
13号地主要メンバー2人による芝居。
13号地は1994年、『転位・21』出身の加藤一也と成行ミチ子によって旗揚げされた。小劇場を中心に2人芝居とプロデュース公演を行なってきたが、2000年8月の同2人芝居の「月が消えた夜に」を最後に活動休止。
2006年にアトリエを構え、新生『13号地』として活動開始した。
旗揚げ以来、「人の死(特に身近な人の死)」をテーマに掲げてきた13号地ならではの新作。
とことん本の世界を考えながら進めて行く演出方法で、13号地独自の力強い演技を披露します。

7月24日(金)〜7月26日(日)
Megalo Theatre メガロシアター
人形人間オペラ 『コード・テト』

〜ヒトは曲線によって直線を描くことができるだろうか〜
−ヒトのカタチとヒトのアイダのオペラによる−
 
作/演出 今井尋也 [キャスト] 平瀬結以・松崎淳・吉松章・弦弓真理江・五十嵐正貢・北澤雅章・萩田あゆみ・藤園明希・小笠原幸介・赤羽さや香・中島有城・横山央・菅野妙子 他
[スタッフ] 音楽 河崎純・美術 村信保
予約・お問い合せ
http://www.megalo.biz/
 
  7/23(木) 7/24(金) 7/25(土) 7/26(日)
13:00      
15:00      
18:00      
20:00  
※開場は開演の20分前。23日の20時は追加公演です。
※上演時間は
約2時間30分になります。
JTAN主催シンポジウム 7月26日(日)13:00の回、上演終了後
ゲスト:今井尋也(Megalo Theatre)、加藤一也(13号地)、長堀博士(RAKUENOH+)
入場料 300円(フェスティバルの半券をお持ちの方、JTAN会員の方は無料)
 
かつて人間がこの世に現れてから、犯罪が無くなった時代があっただろうか。近未来世紀、人形都市ドール。
そこでは感情や気概を失った人間達は「マリオネット」(人形)と呼ばれていた。
そこでは犯罪はおろか、人間の「罪さえも」無くなってしまっていた。
暇を持て余す「ケーサツ」。一粒で一ヶ月生きることができる米を開発し、民営化に成功した株式会社「ノーキョー」。
ヒトの影を売る謎の商人「シャドー」。ある日、労働局「ハローワーク」は失業者達を集め、「犯罪練習」を行う。
犯罪者の心構え、犯罪のテクニック、現場での犯罪の実践を訓練していくのだが・・・
 
メガロシアター待望のオリジナル新作!
今井尋也書き下ろし、河崎純作曲によるオペラのようでオペラでないオペラ!

7月29日(水)〜8月2日(日)
劇団820製作所
『聖者の行進/reprise』
 
作/演出 波田野淳紘
[キャスト] 印田彩希子・加藤好昭・佐々木覚・洞口加奈 and more……☆
予約・お問い合せ
http://820-haniwa.com/
 
  7/29(水) 7/30(木) 7/31(金) 8/1(土) 8/2(日)
14:00      
15:00        
18:00         
19:00         
19:30    
※開場は開演の30分前、受付開始は45分前。チラシ記載の電話番号に
誤りがございます。劇場事務所の電話番号は03-3927-5482です。
◆820製作所
2004年12月『カノン』にて旗揚げ。「はにわせいさくしょ」と読む。横浜・東京を中心に活動を続けている。物語る装置としての演劇の可能性を模索し、観る者のまなざしに鮮やかな変容を引き起こすような、立ち会うことのよろこびに満ちた時間をおい求めている。
◆聖者の行進/reprise:note
そこは古いアパートだ。坂のある静かな町、取り残されたように存在するアパート。
東京の近郊。急行の停まらない私鉄の沿線。
ぼくたちはかつて十四歳だった。なにも考えてはいなかった。たたかおうともしなかった。
あたしたちはかつて十四歳だった。はじめて人を殺したいと思った。この世界は酸素がうすい。
今夜、彼はいくつかの料理をつくる。
火をおこし、卵を割り、湯を沸かし、油をひき、皿を並べ、食卓を調える。
少しでもおいしいもの。きみの好きなもの。ぼくの作れるもの。
腹ごしらえをすませたら出発だ。あたしたちは手をつなぐだろう。なんでもない幸福な旅だ。あたしたちはうまくやるだろう。
二人でまたこの部屋に帰るだろう。ぼくたちは笑い転げて手をはなさず眠るだろう。

8月6日(木)〜8月9日(日)
readymade foundation
『フラグメンテーション』
 
作/演出 鈴木克彰
[キャスト] 押田陽子・佐山花織・木内コギト(JINSEI.) 他 [スタッフ] 製作総指揮 中澤晋一郎・舞台監督 川俣勝人・照明 吉村愛子(Fantasista?ish.)・宣伝美術 丸山由佳里
予約・お問い合せ
http://www.r-m-f.net/
 
  8/6(木) 8/7(金) 8/8(土) 8/9(日)
14:00    
19:00    
20:00    
※開場は開演の30分前
 
この文章に目が留まった皆さんは疑いの目を持って読んでください。
なぜならぼくたちがやっていることが正しく反映された文章かわからないし、虚飾が混じっているかもしれないから。演劇では、嘘をつきますが、ここでは、嘘をなるべくつかないようにしようと思います。
readymade foundationは、主宰鈴木克彰が、2000年11月慶應義塾大学内の創像工房in front of内でひっそりと世の荒波を避けるようにして作った演劇ユニット。旗揚げ後、あえなく2002年に活動を休止。2002年〜2007年までは主に不貞腐れることに時間を費やしたところで、失われた時間の貴重さに気づく。
2007年7月より活動を再開。再開後の作品に『アブストラクト・ノーマル』と『ロスト・ジェネレーション』がある。『アブストラクト・ノーマル』では、宗教団体に希望を求めた人達を、『ロスト・ジェネレーション』では、突然職業をなくしたフリーター夫婦を描いた。
社会の論理が個人の生存を脅かすときの個人の奮闘ぶりや諦めを描いている。崖っぷちの上で、片足がもうすでに外にはみ出してしまっているような人達が耐えている様が大好き!! だから、そういう人達が出る作品を作ってきましたし、これからも作るんだろうと思います。一緒にやってくれる人、特に出演者を随時募集中です。info@r-m-f.net。

8月27日(木)〜8月30日(日)

2009年3月「ア・ミ・ナ・ダ・ブ」
劇団阿彌 GEKIDAN AMI
『静かなる傾斜』題材/宮崎勤 連続幼女誘拐殺人事件、神戸児童連続殺傷事件 他
 
台本/演出 岡村洋次郎
[キャスト] 村山俊介・吉村ひろの・森川みなみ・野村友花・坂本なぎ・岡村洋次郎
予約・お問い合せ
http://www.tokyobabylon.org/gekidan_ami.html
照明 河合直樹(有)アンビル・音楽/音響 落合敏行・劇中歌/うた/サウンド りょう
サウンド/録音 安達がらん・振付 岡村洋次郎、大竹宥熈(舞踏家)
舞台監督 川俣勝人・舞台装置 岡村洋次郎・仮面 脇谷紘・衣装 櫻井基順(MEME)
映像記録 たきしまひろよし(PLASTIC RAINS)・スチール記録 阿波根治(スタッフ・テス)
宣伝美術 岡村洋次郎・制作 坂本康郎
 
  8/27(木) 8/28(金) 8/29(土) 8/30(日)
15:00      
19:30  
※開場は開演の30分前
 
『静かなる傾斜』公演特設ページはこちら
 
1994年結成。能楽の様式性・身体性と同時にその厳しい即興性をも取り入れ、さらに現代における仮面の可能性を追求するなど、現代の詩劇として再構築した前衛的舞台を実現している。またその求心的舞台構築のため、観客の無意識層に揺らぎを与え、そこから立ち上がってくる観客の想像力において顕現してくるダイナミックな原初的舞台を目指している。その前衛と伝統の鬩ぎ合いの舞台は、日本において最も能楽に近い舞台と定評がある。
 
主宰 岡村洋次郎
竹内(敏晴)演劇研究所において、身体性の恢復のワークを通して舞台創造の根源に触れる(約5年間)。その後、観世栄夫(観世流能楽師)に師事(8年間)という、能楽とは断絶した現代演劇界にあって、特殊な経歴の持ち主と言えよう。また前衛的拠点劇場として、東京バビロン(2つの小劇場を運営)のオーナーであり、演劇・舞踏・ダンスの企画プロデューサーとしても活動中。

主催:東京バビロン http://www.tokyobabylon.org